東京イラスト&ルポ

イラストレーターのさくらみが、東京の魅力をイラスト&ルポで紹介するブログです。

江戸東京博物館イラスト&ルポ(その2)東京コーナーの巻

なぜか、ほんのり懐かしい♪ 明治・大正・昭和の東京へワープ!

  

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(前回の記事はこちら

sakuramiyuki.hatenablog.com


 

さて、前回の記事の終わりは、こんな感じでした!

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でも、東京ゾーンに行く前に…せっかくなので、館内のお食事処を一つ、ご紹介。

 

 

江戸っ子気分で蕎麦をすすろう♪ 和食処「桜茶寮」

和食処「桜茶寮」は7階。地下にもお店はあるけれど、ここは展示階のすぐ上なので、歩き疲れたときにも気軽に利用できる。メニューは丼もの、和定食、蕎麦、うどんの他に、甘味や、珈琲まで、一通り揃っていて、天井の高い和の雰囲気も心地良く、江戸っ子気分を継続したまま楽しめる。

 

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ビールにも小技が効いていて、ついつい、味見したくなる。

 

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窓側に座ればご覧の通り、国技館の大屋根と、隅田川のキラメキ、遠くには新宿の高層ビル街まで一望で、気分転換にもぴったりだ。(ちなみに写真は竜田揚げ定食)

→桜茶寮のホームページはこちら

tabelog.com

 

東京の夜明けと文明開化に思いを馳せて…

さて、腹ごしらえが済んだところで、いざ、東京ゾーンへ突入!

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「おっと、そこのお前さん。その髪型、こりゃまた随分と思い切ったもんだねぇ。江戸から急に東京なんて、聞いたこともない名前が付いて、まだ間もないってのにさ、さっそく流行りのザンギリ頭かい。それにその着物、ずいぶんハイカラな…短すぎやしないかね。ま、いいや、この街は江戸の頃から、新しもん好き、なんでもござれの大都会さ。さあ、ガス燈のけぶる東京の景色はなかなかのもんだよ。お入り、お入り〜」

 

…そんな声がしたかしないか、とにかく、新たな気分で東京ゾーンに入って行くと、戊辰戦争後、一旦は「荒れ果て、タヌキやキツネの棲む野原」と化した東京が、欧米風建築を取り込んで、みるみる、新しい都市を築き上げていく様子がわかる。

 

その変化に大きな一役を買ったであろうと思われるのが、こちら。

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灯りの体験コーナー。

暗幕の中に入って、まずは江戸時代の行灯(あんどん)を点けてみよう。「こんなに暗かったのね〜」と、灯の頼りなさを実感したあとで、隣のブースへ移ると…

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パアッと灯ったガス燈のまばゆいこと、まばゆいこと!

きっと初めて見た人は、夜の街に別天地が開けたような気がしただろう。

 

その様子はパネルでも。

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この人形たちをよく見ると、提灯は地面スレスレ。おそらく、江戸時代の灯りはあまりに暗すぎて、こんな風にしないと足元をよく照らせなかったのでは。

一方、維新後の様子がこちら。

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灯火を灯して廻る仕事なんて、なんだかちょっとロマンを感じる。きっと、子供たちの憧れも誘ったに違いない。

 

さて、これだけ夜が明るくなれば、文化の発展にも、人の心にも、影響が出ないはずがない。という訳で、それまで国の内側だけに向けていたパワーを解き放つかのように、一気に外国の最先端文化を取り込み始める様子が、ここからは次々と展開されていく。

 

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華やかなりし「鹿鳴館」の様子。上から俯瞰して、夜な夜な華やかな舞踏会が行われていた様子をからくりで楽しもう。

 

 銀座四丁目のジオラマ

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正面の角は現在の「銀座三越」、ライオン像がある場所。ということは、左手前は和光だよネ…などと、現代の銀座四丁目を重ね合わせながら見るのも楽しい♪

 

そして、これだけは今と変わらぬ姿、御茶ノ水ニコライ堂の様子なども…

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大聖堂の中まで、ちゃんとカラクリで見せてくれる。

 

さらに歩みを進めると、一段と大きなジオラマが待っている。

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照明が灯ると、塔のてっぺんの窓にうっすらと人影が…。

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凌雲閣は浅草六区に位置し、8階まではレンガ造りで、そこから上は木造。

最上階は、展望フロアだった。

他のフロアには、世界各国の絵画や、美術品、みやげ物産を売るお店や休憩室などがあり、世界中を見て廻るような楽しい造りになっていたそうな。まるで、当時のイッツ ア スモールワールド!?

 

ちなみに、8階までは日本初のエレベーターでどうぞ。

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ただし、この日本初のエレベーター、後に危険性が高いため、運転禁止に…こわ〜い!

 

そして、建築当時はおおいに賑わった「凌雲閣」も、移り気な人の世の習いで、だんだんと人気がなくなり、一時は閉鎖を考えるほどに。

 

そこに関東大震災がやってきて…

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ああ、8階から上、つまり、木造の部分が吹っ飛んで、無くなってしまっているのが写真からよくわかる。

 

ということで、致しかたなく、軍が、塔全体の爆破を決行。

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無くなってしまうまでは見向きもしなかったのに、いざ無くなると寂しくてたまらなくなるのも、また人の心の常だ。

 

また、関東大震災のコーナーでは、地震の揺れによる被害もさることながら、火事による被害がいかに大きかったかがよくわかる。

火事場に発生する巨大竜巻、「火災旋風」によって、北から南へとどんどん延焼が広がり、大都市東京は、なんと三日間にわたって燃え続けた。

 

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江戸の昔から、東京の街は、本当によく燃えている。(後述の東京大空襲もしかり)

 

そう考えると、現代の高層ビルや、ネオンや大画面に彩られた一見華やかな東京は、つまり、何度も何度も「復興」を繰り返してきた姿でもあるのだ。

 

熊本・大分の地震が起こり、なお余震の続く今、日本中の誰もが、被災地で踏ん張っている皆さんを見ては、そのつらさ、大変さを慮っていることと思う。地震は本当に他人事ではない。一日も早く余震がおさまり、安心して熊本・大分の皆さんが復興に向かえる日が来るよう、切に願うと共に、自分なりの支援を続けたい。

 

ちょっとマニアックに!? 東京の地盤模型を見てみよう

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さて、ここでちょっと地味だが、ぜひ足を止めて注目していただきたいのが、この東京の地盤模型図だ。

起伏をわかりやすくするために、高低差が62倍に強調されている。

 

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真ん中へんの青いところは「隅田川」流域。川から東に「深川」という地名があるのだが、よく言ったもので、いかにも「深川」なのがおわかりかと…。

 

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横から見ると、地層の断面図が書かれており、氷河期の最後にたまった「沖積層」と言われる、川砂の多い地層が、地下深い所にまで堆積している様子がよくわかる。(地震では揺れやすい地層)

 

江戸は、家康公が入城する前までは「葦の原」で、歩くと地面が「ぶよぶよする」と言われていたそうだが、実際、この表現はかなりリアルだと思う。

 

今は地面と言えば、どこもアスファルトで平らに整地され、その上に鉄筋で、オシャレな高層ビルやマンションがニョッキリと立ち並び、一見どこも同じに見えるのだが、一皮めくれば、地域によっては、今も水を含んだ土地が地下深く続いているということになる。

 

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続いて、今度は台地に目を向けてみよう。

すると…皇居、つまり「もと江戸城」が崖の突端にあるのがおわかりだろうか。

 

円形の江戸城の跡地は、東の半分は海抜8メートル、西半分は海抜20メートル位と、高低差がまっ二つに分かれており、それは現在の皇居にそのまま引き継がれている。

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実は、この崖を巧みに利用し、諸大名が海抜ほぼゼロメートルの大手門から、えんえんと坂を登って、やっと江戸城の先っぽへと入り、将軍様にほんの一瞬、お目通りできる(ただし頭は下げたまま)という造りになっていた。

 

つまり、地形も、徳川家の「威光」の演出に一役買っていたというわけね。

 

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(高低差がとてもわかりやすい皇居内の崖。汐見坂と白鳥濠方面を望む@東御苑)

 

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(馴染み深い二重橋が高い位置にあるのも、崖の名残り)

 

 

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(富士見櫓も崖の上に。皇居ランの際にはぜひご注目を)

 

この東京地盤模型図の面白さについては、他にもいろいろお話したいことがいっぱいあるのだけど、あとは興味のある方だけ、もう一つの拙ブログの古い過去記事(→コチラ)をご覧いただくことにして…。

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リニューアル後は、さらに見やすい場所に展示されるようになったこの展示。ボタンで5つの切れ目を上下に動かして、中の様子も見ることができるので、会場では、ぜひじっくりとご注目されたし♪

 

 

懐かしき東京、ここに見参!

さて、さらに展示は大正、昭和へと時代が進み、テレビや映画でも馴染みのある、何となく懐かしくて胸キュンな風景が増えてくる。

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ちゃぶ台の上には、お父さんの晩酌の用意と、美味しそうなお芋の煮っころがしが…。

 

 

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このクラッシックカーはタクシー。都内一円。深夜は五割増だって。乗ってみた〜い!

 

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こちらは、窓に爆風よけのテープが張られた戦時下の住まい。

 

 そして…

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東京大空襲といえば3月10日が有名だが、実は2月から5月にかけて、東京は何度もB29の空襲を受け、隙間なく丁寧に焼きつくされて、文字通り「焦土」となっていった。

これは、何度見てもかなり衝撃的で、ポツダム宣言受諾の写しと合わせて、疲れた足に結構響く。

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そう、リニューアル前は、この戦争の展示にショックを受け、あとは記憶にさえない感じだった。

 

……しかし!!

 

ありがとうございます、江戸東京博物館さん!

リニューアルによって、この先にこんなほっこりコーナーが増え、最後にググッと気持ちが上がるように。

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懐かしの団地コーナー。

 

庶民はそれまで、一家で部屋を間借りし、電話はもちろん、お風呂やお手洗い、台所も共用なのが普通だった。なにしろ、戦争の焼け野原から立ち上がったのだ。当然だろう。

そこに、高度成長期の最初の波がやってくる。一定以上の収入を得られるようになった「課長」「部長」が団地の一部屋2DKを購入して入居するようになり、若い夫婦の憧れの的に…。

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今では敬遠されがちな「和式便所」も、家族だけで使えることが嬉しかった時代。

 

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 玄関から見たところ。 木のぬくもりがあたたかい。

 

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昭和生まれには、ひとつひとつがたまらなく懐かしい感じだ。じょうずに作ってある。

「ステンレスの流し台」が大人気を博したと書いてあったけど、私も、確かにそんなコマーシャルをテレビで見た記憶が、おぼろげながら…。

 

こちらは昭和の日本家屋。

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タイル貼りの台所も、今となってはキュンとくる。

 

流行の移り変わりをモチーフにしたコーナーも、新設されていた。

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こちらは銀行の景品。

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たぶん、これみんな、貯金箱になっているのよね(富士銀行のボクちゃんシリーズ)。

個人預金が増えて、各銀行は、新規顧客獲得作戦に躍起になり、そのひとつとして、景品のマスコット人形が配られたんだって。

 

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アルマイトのお弁当箱も懐かしくてかわいい♪

 

そして最後は、このファッションで締めくくり。

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そう。今、東京の象徴として世界に認知されている代表は、よくも悪くもメイド喫茶なのでした。

 

ということで、現代に戻ってきたところで、館内のご紹介はこれにて終了!

おつかれさまでした〜!

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そうそう。最後に、せっかくだからおみやげも買いましょうネ。

一階のみやげもの屋には、富士山に、縁起物、布小物に、珍味、刀小物に漢字小物、お相撲さん…そんな「日本風のおみやげって言ったら、こんな感じ?」と誰もがイメージするような物が、だいたい揃っている。

海外のあの人に、日本の小物やちょっと笑えるものを送ってあげたいな…と思った時も、ここに来れば、楽しい贈り物を揃えられるだろう。

 

少しマニアックな人へおみやげには、本もおすすめだ。ここの書籍コーナーには、江戸東京に関する本がたくさん集まっていて、私もいつも、ついつい買い過ぎてしまう。

 

ただし、注意してほしいことがひとつだけ。

みやげ店は、閉館時間と同時に閉まってしまうので、時間を計算して、お早めにどうぞ。

 

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以上、江戸東京博物館の「常設展示」についてご紹介しました。

 

ちなみにゴールデンウィーク中は、一階の特別展では「真田丸展」が行われます。

大人から子供まで、濃い時間がたっぷり過ごせる博物館。ぜひ、まる一日楽しむつもりで足を運んでみてくださいね。

 

→アクセスや開館時間、スケジュールなどは江戸東京博物館のホームページでどうぞ♪

www.edo-tokyo-museum.or.jp